COLUMN
パートナーシップ制度とは?メリットや日本および東京での取り組みについて。
近年、さまざまなセクシュアリティが理解され始めています。
そんな中、同性婚が認められていない日本国内において、「パートナーシップ制度」が注目され始めています。
ここでは、パートナーシップ制度について、またメリットや日本や東京での取り組みについて考えていきたいと思います。
同性婚について
冒頭でお伝えしたように日本国内では同性婚は認められていません。
パートナーシップ制度を理解する上で、まず同性婚について理解する必要があるでしょう。
どのような内容なのか考えていきたいと思います。
同性婚はどうなっている?
現在、日本では同性婚は認められていません。
例えば、“婚姻は両性の合意のみに基いて成立するもの。夫婦が同等の権利を有することを基本としており、相互の協力により維持されなけれるべき”。
まずこのようなニュアンスが日本国憲法第24条1項に記載されており、2項には“配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定化…などこれらの事項に関しては、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されるべき”といったことが記載されています。
この中で、「両性」という言葉が使われていますが、現在の日本では「男女を意味する両性」と捉えられていることから、同性婚は今の日本ではできないことになります。
台湾の事例
一方、台湾では2017年に同性婚を認めない現行の民放は違憲である、という判断がくだされました。台湾はアジアで初めて同性婚ができる国へとなろうとしており、新しい一歩が踏み出されたという意味では大きな話題となりました。
しかし、同じアジアである日本は未だ同性婚は認められていません。
日本は遅れているのでしょうか。
パートナーシップ制度について
現在、日本には同性婚にかわるかたちで「パートナーシップ制度」というものがあります。そもそもパートナーシップ制度とはなんなのか、基本から考えていきましょう。
パートナーシップ制度とは?
現在、各自治体がパートナーシップ制度を取り入れています。
逆にいえば、まだ日本全国に広がっているわけではありません。パートナーシップ制度は自治体によって呼び方なども違っていることがありますが、ここではまとめてパートナーシップ制度として呼んでいきます。
パートナーシップ制度とはわかりやすくまとめると、「法的効力はないものの、私たちの自治体ではあなたたちの結婚をみとめます」というような制度です。
ちなみ外国における、「パートナーシップ」は「シビルユニオン(シビルパートナーシップ)」を指しています。
これは、「法的に認められているパートナーシップ関係」ということで、さまざまな保障を受けることができます。後述しますが、日本のパートナーシップ制度では保障は受けることができないのでしょうか。
パートナーシップ制度の種類
日本におけるパートナーシップ制度の保障について考える上で重要なのが、パートナーシップ制度の種類です。その種類を知った上で、パートナーシップ制度の保障などを見ていきましょう。
パートナーシップ制度の種類
パートナーシップ制度には大きくわけて、「条例と要項」の二つの種類があるといわれています。「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」と「世田谷区パートナーシップの宣誓の取扱いに関する要綱」で知られており、「条例=渋谷区型」「要項=世田谷区型」といわれています。この二つは同じようなニュアンスで語られますが、具体的にその証明制度に違いがあります。比べてみましょう。
渋谷区型
渋谷区型のパートナーシップ証明制度の形態は「条例」です。
渋谷区の同性パートナーシップ証明制度を例にあげると、「条件:渋谷区に在住・20歳以上・配偶者、他のパートナーがいない」、「近親者でない」、「必要書類:公正証書2種類・戸籍謄本・本人確認できるもの」などが条件とされています。
条例は、自治体の議会で決議されるもので、国の法律などよりは弱いものの当該地域で法律と同様のものとして一部保障を受けることができます。
世田谷区型
世田谷区型のパートナーシップ証明制度の形態は「要項」です。
世田谷区の同性パートナーシップ証明制度を例にあげると、「世田谷区に居住・20歳以上・配偶者、他のパートナーがいない」、「必要書類:本人確認できるもの」、「時間:即日(3日前に電話や窓口で申込が必要)」などが条件とされています。
「要項」である世田谷区型の同性パートナーシップ証明制度は役所が業務をおこなう上でのマニュアルのようなもので、同性パートナーたちにも等しい権利を認めていくといった、職員たちの共通意識が目的となったものです。
パートナーシップ制度のメリット
パートナーシップ制度は同性婚とは違うため、法律婚と全く同様の待遇を得られることはありません。しかし、名ばかりのパートナーシップ制度では意味がないでしょう。
パートナーシップ制度を取り入れている東京での取り組みなどを参考に、どのようなメリットがあるのか確認していきましょう。
パートナーシップ制度のメリット
例えば、渋谷区型のパートナーシップ制度をみていきましょう。
例えば、LGBT向けの住宅ローンサービスが受けられるほか、区営住宅などへの入居が認められています。
さらに、一部生命保険会社では生命保険の受取人を同性パートナーに指定できるなど、名ばかりではないメリットが多く存在しています。
また、自治体による部分はありますが病院での面会や説明、手術への同意や形態、マイレージ、クレジットなどの家族サービスについても受けられるようなので確認してみましょう。
全国に普及しつつあるパートナーシップ制度
パートナーシップ制度にはさまざまなメリットが存在しており、同性婚が認められていない現在の日本では重要な制度のひとつと考えることができます。
もちろん、法律婚との違いは大きく存在しており難しい部分もありますが、パートナーシップ制度からのスタートであっても十分に意味があることでしょう。
さて、渋谷区と世田谷区ではじまったこのパートナーシップ制度。現在では、東京都内はもちろん日本全国に普及し始めています。その理由と現在パートナーシップ制度を導入している場所などについてお伝えしていきます。
パートナーシップ制度が広まった理由
パートナーシップ制度については、さまざまな意見や議論が長く交わされています。もちろん、パートナーシップ制度は法律婚は違う意味を持ちますが、形式的であっても同性カップルを自治体が公認することは重要です。
当事者にとっても社会に認められているという思いを与えることができるほか、前述したようなメリットを受けることも可能です。パートナーシップ制度がはじまった5年程度ではありますが、少しずつ全国に普及しつつあると考えることができるでしょう。
全国に広がるパートナーシップ制度
現在、東京都だけでなく、パートナーシップ制度を導入している自治体が増えてきています。
兵庫県、神奈川、奈良県、静岡県、新潟県、福岡県、香川県、宮崎県、愛知県、埼玉県、大阪府、長崎県、熊本県、千葉県、北海道、沖縄県など…。全国的に広がりを見せていることがわかります。
また、これから導入予定という自治体も数多くあり期待がもてます。それぞれ取り組みにも違いがありますが、よりよい方向へパートナーシップ制度は発展していく予感です。
パートナーシップ制度を知る
パートナーシップ制度は、まだまだ知られていない制度のひとつかもしれません。これを機会にパートナーシップ制度への理解深め、自らの済む自治体についての取り組みも調べてみてはいかがでしょうか。
「自分らしく生きるプロジェクト」では、自分らしく生きる様々な人たちのインタビューやメッセージ・フレンドリーな企業・多様性なライフスタイルのコンテンツをご紹介しています。ぜひ公式サイトをチェックしてみてください。