STUDENT COLUMN
大学生LGBTsコラム 「当事者の子を持つ親に伝えたいこと!」
こんにちは。N・M(FTM)です。
FTMというのはトランスジェンダーに含まれ、簡単に言うと生まれたときの性別は女性、心は男性である人のことをいいます。
僕は今21歳なのですが18歳の時に両親にカミングアウトをし、約1年後に診断を受け、現在ホルモン治療を受けています。
カミングアウトしてから今まで生活する中で当事者とその親とのギャップを感じることが何度もありました。そこで今回、母親に直接インタビューをしてみようと思いました。
母親へのインタビュー
Q1.カミングアウト以前に「もしかしたらそうかな?」と思うことがあったか?
→あった。
(具体的なエピソード)
幼稚園時代から友達はほとんど男の子だったこと
欲しがるおもちゃが戦隊モノなど男の子が好みそうなものばかりだったこと
ピンク、スカート、レースを嫌がっていたこと
髪を短く切ってほしいと言っていたこと
Q2.子供と接するうえで気を付けたこと
→「女の子らしく」と言わないようにした
Q3.カミングアウトされた時の気持ち/カミングアウトしてほしいと思っていたか。
→「そうだよね。」と思った。びっくりはしなかったしいつかその日が来ると覚悟していた。言ってくれてよかった。
女の子が欲しかったし、女の子が生まれてとても嬉しかったので正直少しだけ残念な気持ちにはなったけど、自分の子という事実は何も変わらないと思った。
Q4.カミングアウトされる前と後で変わったこと
→私(母)は特に変わったことはない。
ただ、親戚に話すときにどう話していいか考えた。
Q5.カミングアウトから約3年、診断を受けたり治療のために動き出したことについて
→体質的に、副作用が心配。長期的な治療をするのなら人一倍体調の管理が必要だと思う。
外科的治療(胸オペ等)については今でも賛成ではない。
今後は自分と同じ価値観の人もいればそうでない人もいるので、それぞれの意見を知って柔軟に対応できるようになってほしい。
成人したので自己責任ではあるけれど、親として見守り手助けします。
Q6.当事者の子供を持つ保護者に伝えたいこと
→いろんな考えがあって良いと思う。同じように、受け入れられない人もいて当然だと思う。
なので、あえて言うなら「子供が幸福感を持って生きていけるよう見守りましょう。」
インタビューを終えて
まず、一番驚いたことは当初思っていたほど考えのギャップがなかったことです。
僕は幸運なことにこれまでカミングアウトをした時に否定されたり心無い言葉を言われたりした経験がありません。
Q3(カミングアウトされた時の気持ち)での母親の答えと同様に、驚かれることもなくただ僕の話を聞いてくれたように思います。おそらくカミングアウト以前から気が付いていたこともあり女の子であることを求められたこともあまりなく、そういう点ではとても恵まれていたと思います。
ただ、治療については考え方にギャップがあったように思います。以前母は「ホルモン治療は副作用が心配だし、そんなに焦ってしなくてもいい。」という立場だったのに対し僕は「副作用のこともちゃんと考えているし、なにより焦っているわけではなくて僕自身はカミングアウトするよりもずっと前から性別のことで苦しんできているのにそれを分かってくれない。」と考えていました。ただ治療に関しては本人にとっては嬉しい変化があるかもしれませんが、副作用もきちんと考えなければならないものなので、今思えば、治療に反対した母の気持ちもわかる気がします。
内面のことならまだしも、そこに体に関わってくるものが加わると当事者と親の間で意見が乖離してしまいやすいのではないかと思いました。
僕から当事者の子を持つ親御さんに伝えたいこと
家族という関係だからこそ言いにくいということもあります。カミングアウトをすることには本人にしかわからない不安や緊張や覚悟があります。
僕の母も言っていたように、いろいろな考えがあって良いし受け入れられない人もいて当然だとも思います。しかし、子供が勇気を出して話してくれていることは忘れないでください。
結果的に受け入れて応援することが出来なくても、話を聞かずに頭ごなしに否定したり突き放すようなことは絶対にしないでほしいと思います。
また、突拍子もなく変なことを言い出したと思うかもしれませんが、本人はカミングアウトをするよりずっと前から悩んで苦しんでいると思います。
正直に言うと、やはり家族には受け入れてもらいたいし、知ったうえで応援してもらいたいと思っています。僕は両親や友人が否定しないでくれたことで、自分らしく生きていく決意が出来ました。
僕が一番伝えたいことは、最初は理解ができなくても、焦らずゆっくりと寄り添ってあげてほしいということです。
大学生 N・M(FTM)