STUDENT COLUMN

大学院生LGBTsコラム 【自分自身わからなかったセクシュアリティ!それに気づけたのはコミュニティのおかげ。サークルは自分を知った大切な場所】

こんにちは!もっちょです。最後であろう学生生活で,何か自分の記録を残しておきたいと思い,今回投稿させて頂きました。現在,臨床心理学専攻の院生です。また「SOGIサークルならてぃぶ」の共同代表をしています。セクシュアリティは「クエスチョニング」です。

ならてぃぶは,性的マイノリティ当事者の居場所づくりを通して,誰もが過ごしやすいキャンパスを目指すこと,学内にアライを増やすことを目的として活動しています。2019年2月に発足し,現在2年目の若いサークルです。そもそも私は,ならてぃぶに携わるまで,ジェンダーやセクシュアリティ,LGBTQに関心が薄い学生でした。大学では,ジェンダーを扱う教養・専門科目が充実していましたが,学部時代はその授業に目もくれず,必要最低限の単位を揃える非常に怠惰な学生で,今思うとなぜあんな勿体ないことをしたのだろうかと悔やまれます。

LGBTQを知るために入ったサークルで気づいた“本当の自分”

積極的に自らLGBTQについて知ろうと動いたのは,大学でトランスジェンダー学生受入の発表があった時です。当初は「へえー」と半ば他人事のように受け止めていましたが,大学での取り組みの詳細を全く知らないことにモヤモヤを感じました。自分もその取り組みに関して何かできることはあるのか気になり,学内講演会に参加しました。当時は,性的指向と性自認の区別がつけられていない状態で,講演会で新しく知ることがたくさんありました。その時に気づいたのが,悪気はないとしても,基礎知識を知らないことによって,無自覚に誰かを傷つけるリスクがあるということでした。

講演会後,ゲストスピーカーの方との座談会があり,私は聞きたいことが山ほどあったのでドキドキしながら参加しました。もう1人の共同代表で発起人も偶然座談会に参加しており、終了後「実は,LGBTQサークルを立ち上げようと思ってるんだけど,興味ある?」と声をかけてくれました。「え!興味ある!やってみたい!」とLGBTQについてもっと知りたいという動機から「ストレートアライ」としてサークルの運営に携わることになりました。「え?セクシュアリティは『クエスチョニング』じゃないの?」とここまで読んできて、ツッコミを入れてくださった方。お見事です。もともと自分は,シスジェンダー・ヘテロセクシュアルとして24年間ほど生きてきました。それは世の中に溢れる異性愛規範や男女二元論が自然に自分に刷り込まれていたからだったんだなあと,サークル活動を通して気づきました。

発足時は,サークル運営について全く分からなかったため,様々な交流会やイベントに参加し,参加者の方と意見交換をしたりお話を聞いたりしました。1年目は共同代表と2人態勢で,お互い大学院生ということもあり,半年程はアクティブな活動が難しい状態でした。2年目どころか,初年度の活動さえもままならない中で,共同代表2人で話し合いを重ね,改めて「ならてぃぶ」の存在意義や活動目的について考えました。1年目の後半は,居場所づくりを主な活動に設定し,学業の合間に,当事者会(クエスチョニングを含む性的マイノリティ当事者向けの交流会)やランチ会(セクシュアリティ問わず誰でも参加できる交流会)を定期的に開催しました。少しずつ学内での認知度も上がり,来てくれる学生さんも増えてきました。学内での活動と並行して,私は他団体のイベントにも通っていたのですが,いろいろな人の生き方や価値観に触れていく中で,ふと「私ってほんまに,異性愛者なんやろうか?」と疑問を抱くようになりました。今までに好きになった方は男性でしたが,女性に対しても時々愛おしいと感じることがありました。しかし確信は持てず,また,レズビアン,バイセクシュアル,パンセクシュアルというカテゴリーにもしっくりこない状態だったため,その時から,緩やかにクエスチョニングを自認するようになりました。とはいえ,私自身が「セクシュアリティってこんなにあっさり変わるものなの?」「もともと異性愛者でいわばマジョリティだった自分が当事者会に行ってもいいの?」と,自分の中にあった決めつけや偏見にとても苦しみました。同時に,この無自覚の偏見から今までに誰かを傷つけてきたのではないかということについても後悔の念が湧きました。しかし,このような感情に気づけたのは,性のあり方について自分ごととして考えられる環境があったからこそであり,今では本当に良かったと思っています。その後「自分は本当に女性?」という部分にも分からなさを感じ,現在ははっきりと,性的指向・性自認共に「クエスチョニング」だと思っています。

ここまで,サークルのこと,私のセクシュアリティの変遷についてお話してきました。気づけば,ならてぃぶは私自身にとっても,安心して自分探しができる「居場所」になっていました。そんな居場所が,必要としている誰かにこれからも届いていくように,残り少ない学生生活も活動できたらと思っています。

臨床心理学専攻の院生
SOGIサークルならてぃぶ 共同代表 もっちょ

LGBTs学生コラム大募集!

Topics