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皆さん「アセクシュアル」はご存知ですか? 詳しく踏み込んでみましょう!

名前 tomo (29歳)
セクシュアリティ/ポリロマンティックアセクシュアル


はじめまして。tomoと申します。
私のセクシュアリティはLGBTという言葉の中には当てはまらない要素をたくさん含んでいます。
皆さんは”アセクシュアル”という言葉を聞いたことがありますか?

もしかするとあなたも”アセクシュアル”かもしれません。

アセクシュアルって何?
自分もそうなのかな…?

そんな方のためにはじめは簡単なものではありますが、アセクシュアルに関しての特徴を挙げてみました。
項目ごとにチェックしてみて下さい。

  1. 他者に対し、恋愛感情を抱かない
  2. 他者に対し、性的な欲求を抱かない(性的な惹かれを感じない(又は感じても性的な行為をしたいとは望まない)
  3. 信頼した相手には徐々に恋愛的、性的な惹かれがあるが、初対面での一目惚れはしない
  4. 恋愛感情や性的な欲求を他者に抱いたりもするが、一般的な人の感覚と比べてやや薄いと感じる

チェックの回答

①②が当てはまる方
アロマンティックアアセクシュアルかもしれません

②が当てはまる方
ロマンティックアセクシュアルかもしれません

③当てはまる方
デミロマンティック/デミセクシュアルかもしれません

④が当てはまる方
グレーロマンティック/グレーセクシュアルかもしもしれません

このようにアセクシュアルとそれに類似したセクシュアルティーはたくさん存在しています。

「なんとなく」と思った方も含めて、詳しい説明もありますのでどうぞ最後までご覧ください。
「自分はアセクシュアルじゃないなぁ」と感じた方、よろしければ当事者の”生きづらさ”を知って下さい。

私が現在自認しているセクシュアリティは、「ポリロマンティックアセクシュアル」です。

少し複雑な言い方ですが、意味は「女性もしくはFtX*1の方に対して、恋愛感情を抱くが、性的な欲求は抱かない(性的には他者に惹かれない)ことを表しています。
ポリというのは複数という意味で、バイセクシュアル*2の定義には当てはまらないが、複数の性が恋愛・性的対象になる場合、ポリロマンティックやポリセクシュアルのように活用する言葉です。

*1 身体的には女性だが、Xジェンダーを自認している方
*2 両性愛者(女性と男性に対し恋愛感情や性的欲求を抱く)

今回は「アセクシュアル」をテーマに書かせて頂きます。

「アセクシュアル」自認のきっかけ〜前編〜

【自認のキッカケ①レズビアン】

恋愛でもよく使われる「好き」というワードですが、とても広い表現ですよね。
私は10代の頃、”自然と湧くべき好きの感情の全てを男性に抱けない”、更には”女性に対して友人関係以上のものを求めてしまっている”と自覚し「自分とは一体何者なんだろう?」と悩みました。
当時「好き」について細分化し、自己分析をした事があります。

下記に詳細がありますが、好きの分類は皆さん一人一人違うものだという認識なので、参考程度に御覧ください。
※それぞれを定義するものではありません。

*1恋愛感情に関しての定義はしっかりとしたものはありません。個人的には、一つの感情ではなくいくつかの感情の統合体であり、それに関しての内容もそれぞれ個人差がある。故に定義できないもの。
個人の価値観・恋愛観という考え

*2性的な好意に関しては当時の思考で正しいアセクシュアルの定義とは全く無関係です

上記の五種の中で、家族愛は特別なもの。
羨望や尊敬に愛はない、と判断し、友情と恋愛感情、性的な惹かれの三種に絞り、自分はどの性に対しどのくらいの興味があるのか、魅力を感じているのかを素直に向き合うことで違和感を解消しようと試みました。

マジョリティの方は恋愛する上で”好き”の分類に違和感を覚えることは少なく、自然と交際関係に発展するため、無意識な方が多いのでは?と思います。

告白の時に告げる「好きだよ」の言葉の中にはこの要素が全て含まれる、又は一部は欠けていても気にせず、伝えているのではないでしょうか。

好きの内訳

ご自身の経験や友人の恋愛相談などから、カップル同士の気持ちの温度差を感じたことはないでしょうか。

例えば、
男性「好きだよ(性的に惹かれる)」
女性「好きだよ(恋愛感情を持つ)」
互いが同じ言葉で感情を伝え合っていて、両想いの関係になるものの裏の感情はすれ違っており、互いにフレンドシップが欠けていて、結局のところ”性格の不一致”が問題ですぐ別れてしまうケースなどはあるあるではないでしょうか。

無意識にも好きの細分化はされていますが、表面上は混合していて、互いに確認せずに交際するパターンが多いと思います。
ただ、私の場合はその感情ごとに抱く性別が男女によってそれぞれ違っていたことから、大きく区別する必要がある、と考えました。

こちらがその当時、区別した内容です。

それまでは頑張って男性と恋愛しようと試みてもいましたが、こうやって素直な自分の気持ちを可視化したことで、レズビアンとしての自分を認めて受け入れるべきだ、と判断しました。
(続く)

「アセクシュアル」自認のきっかけ〜後編〜

【自認のキッカケ②アセクシュアル】

「もっと自分らしい人生を歩みたい…」
そんな、焦りや絶望感に追い詰められ、ある日私は上京を決意します。

上京後、アプリを通じての出会いがあり、女性と初めての性行為をする機会が巡ってきました。
ただただ、好奇心と勢いでした。

その後もその女性とは友人として何度か会うことがありましたが、二度目の性行為に誘われると「そんな気分じゃないし、そんな関係でもないでしょ」と身勝手にも断り、交際についても良い関係性を築きたいと好意的な思いを伝えてもらったにも関わらず、応えられませんでした。
その後は一年ほどアプリを触ることさえしませんでした。

そして当時の性体験で感じたことについても、どこか違和感を覚えるようになりました。

「全く想像と違った。満足感を得なかったし
   多幸感もない、気持ち良くもない。
   どの瞬間に楽しいって思えばいいんだろう?
   思い出した時の不快感は性嫌悪なのだろうか
   本当に好きな人とだったらしたい?
   いや、したいと思わない
   好きな人だったら余計にしたいと思えない。
   どうしよう。なんだったんだろう。
   一回で一生分の性欲を使い切っちゃったみたいだ。」

その後も一人、レズビアンの女性と出会い恋愛感情は抱くのですが、
その相手と行為をしたいかについては確信が持てず、そういう雰囲気になったら自然とできるのかなぁ?だけど全く想像できないし、もしかすると関係を持った後、性嫌悪を抱いてしまったら相手を嫌いになってしまうんじゃないか?その瞬間に相手を失ってしまうかも…と不安になったりもしました。

アセクシュアルという言葉に出会えたのは2019年の5月です。
もっと自分を知りたい!とアセクシュアルについての理解を深めることに夢中になりました。そして様々な友人との出会いもあり、Xジェンダーについても教わりました。
その後、ようやく現在のポリロマンティックアセクシュアルという自認に至りました。

また「アセクシュアル」自体にも不要な細分化だ。
LGBT、これ以上の細分化は必要ない。との声も少なくはありません。
これに関しては非常に時代遅れな感覚だと思っています。
私にとってはLGBTはもはや死語です。
セクシュアリティの種類でいうと、その頭文字はAからZまで、ほとんどが存在しています。
それなのにLGBTの4つしか知られていないのです。
私はSOGIEを広めたいです。

SO Sexual Orientation 性的指向
GI Gender Identity 性自認
E Gender Expression 性表現

この3つが、すべての人の中にあるという概念
カテゴライズではなく概念なので、どんな人にも当てはまります。

ネット社会になり、情報格差が進んだことで若い人々の多様性とネットを使わない世代とのギャップがどんどん表面化してきているのではないかと感じています。
現代はXジェンダーやアセクシュアルという言葉にたどり着くまで、昔より簡単になってきました。
そして性表現自体も多様性に溢れ、より自分に近いファッションや言葉と出会うことができます。
その中でまだ男女二元論の枠内である、LGBTはもう狭い世界でしかないということ、もっともっと多様な自己表現があって良い、そのように思います。

【アセクシュアル当事者が望むこと】

「恋愛や性愛に無関心ならそれでいいじゃないか、同性愛なら困るが、我々に何も害もないし、少ないならもう個人の問題では?わざわざ声をあげる必要があるのか?」

こういった意見も多いです。

私は少ないからこそ必要なものだと思っています。
周りと共感できない、自分って変なのかな?自分をきちんと理解するまで、孤独感や劣等感、様々な苦しさを経験してきた身としては、今後若い当事者の人たちにはなるべく早くこの言葉に辿り着いてほしい。
そして悩むことなく、同じ当事者で集まって自分は一人じゃないんだなと感じてほしいと思っています。

恋愛や結婚の話になった時に「私アセクシュアルなので」
この一言で全ての煩わしい周囲の干渉から解放されればどれだけ生きやすいか…と思うばかりです。

セクシュアリティに関して、
「自分に害はないので存在を認める」
「何も知らないけど、偏見なんて持ってないし、気持ち悪いなんて思わない。色んな人がいても良いと思う」
そんな浅い認識では、
「私は差別をしない安全な人間だ」
という態度表明にはなりません。当事者からの信用も得られません。

差別をしないためには知識を得ることが必須条件です。
どういう言動で傷付けてしまうのか、どういう接し方が彼らにとって生きやすいのか、もし仕事中にお客様として当事者の方がみえた場合、素敵なシーン、あるいは過ごしやすい心地よい空間を提供するにはどのような配慮が必要か。
私たちマイノリティはマジョリティに対するマナーあるいはサービスまで理解しています。

必要なのは目の前の相手が「何が自身にとって幸せなのか」その本質を理解することだと思います。

そうすれば、ゲイが彼氏を「彼女」と置き換えて友人との恋愛話に参加したり、レズビアンがBarに飲みに行って「もっと女性らしくすればモテるんじゃない?」とファッションに口を挟まれたり、アセクシュアルに「好きなタイプは?」と聞いて困惑させたりしなくて済むのです。

そういった、日常の些細な孤独感や後ろめたさが無くなるだけでも、我々マイノリティは自分を守るための鎧を脱ぐことができ、気分が軽くなるのです。

そんな明るい社会に変えていきたい。

私はそういう志を持った多くのセクシュアルマイノリティ当事者の中の一人です。

まとめ

アセクシュアル
他者に性的な魅力を感じない。または、他者に性的な魅力は感じるがその人と性的な行為をしたいとは思わない。

アロマンティックアセクシュアル
恋愛感情を抱かない場合

ロマンティックアセクシュアル
恋愛感情を抱く場合

グレーセクシュアル
性的な惹かれが薄い
アセクシュアルと他の性指向との間のどこかに該当する

デミセクシュアル
信頼関係がある相手に対してのみ性的魅力を感じ、その相手と性的行為をしたいと感じる

性欲の有無
性嫌悪の有無
性行為の経験の有無、又はするかどうか
などとは無関係です。

【図解】

PROFILE

名前 tomo
ポリロマンティックアセクシュアル
現在 29歳
愛媛県出身 26歳で上京
Twitter@tomo__327
非営利オフ会やAceの啓蒙活動などプライベートの範囲で活動中

YouTube 自分について

プロフィールURL
https://tomo327.localinfo.jp/pages/3494521/page_201707071609

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