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皆さんもこのような経験ありませんか?LGBTsあるある!

LGBTsが世の中に認知されるようになり当事者が誰にも悟られることなく自分らしくいられる手段が増えてきました。昨今では誰でもトイレの普及やアンケートなどの性別記入欄における「その他」が散見されており、男女にくくられない配慮をする風潮があります。

しかし、日常では支障なく過ごせていても越えられない壁があります。

女性から男性への性転換(FTM)や男性から女性への性転換(MTF)は「性同一性障害特例法」という2003年に制定された法律をもとに性別移行を公的に認められることになりますが、この「性同一性障害特例法」の手術要件は体力的、経済的に容易ではなく当事者は中長期的に条件を満たしていくことになります。また、ホルモンや手術による身体の変化に対し、性別変更の手続きや改名の手続きにはずれがあり、見た目は完全に移行していても公的にはまだ済んでいないギャップが存在しており、ほとんどのトランスジェンダーが直面する大きな困難が存在します。

今回は性別移行途中でホルモン投与を行っているFTM当事者に起こった体験談を漫画にてご紹介します。

イラストレーター/てぃだぁら

どうすればよかったのか?

急な腹痛によって救急車で搬送されることになった小川さん。ホルモン投与によって髭が生え、声が低く声変わりします。知識がない人からすれば男性として認識するでしょう。

また胸をたいらに見せるためナベシャツ(さらしとシャツが一体化したようなもの)を着ていました。

そのため小川さんは服をめくられることで、周囲で見守っていた友人や隊員に生まれつき男体ではないということを悟られないようにしました。男性ということは生まれつき男体だと認識している周囲に女体特有のくびれや、骨格によって気づかれることを避けたかったのです。

小川さんはホルモンのおかげもありパス度(移行する性別に見える度合いのこと)が高く、公的にはまだ認められていませんが、日常生活では特にカミングアウトすることなくいち早く男性として生活していたため男性名を使っていました。

救急隊員が名前を確認した際に答えられなかったのは周囲が知っている名前と違う名前を伝えることで周囲を混乱させてしまうだけでなく、実質的なカミングアウトにつながってしまう可能性があったためなのです。

中性的な名前であればごまかせますが、性別によって分けられている名前の場合はよりデリケートな部分となります。

ちなみに最近ではネットの普及などにより本名を明かさない出会い方が増えたこともあり、似たような場面ではそれとなく救急車の中でお伺いしますと察してくれることもあるようです。

小川さんは社会に馴染んで「普通」に生活していました。

では周りの友人や救急隊員は間違ったことをしていたのでしょうか。

友人は救急車を呼び、小川さんが心配で搬送されるまでそばにいました。これは社会的に「普通」ではないでしょうか。また救急隊員はスムーズに手当てができるよう手順通りに「普通」の業務をこなしていただけです。

小川さんが事情を知らない相手を前にしたとき本人の口から伝えることができなかったために齟齬が発生します。それはある意味、小川さん自身が周囲の人が「普通」のことをしているということを認識しているからです。

100%の解決法があるわけではないからこそ誰のせいでもなく、誰のせいにもできない。

こういったズレが存在するということを知ってもらえるだけで当事者は生きやすくなっていきます。誰しも他人がどうすることもできない言いづらいことや混みいった事情、悩みを抱えて生きています。万が一当事者が勇気を振り絞って事情を打ち明けようとしていたら、そっと歩み寄り話をきいてくれるだけで救われる方もいるかもしれません。

当然すべての当事者に当てはまるわけではありませんが、今回の一例だけでなく今まで想定していなかった困難に直面した時、当事者はとっさに対応しなければいけないことが多くあります。

「トランスジェンダーあるある」ではこういった体験談をもっと可視化し、非当事者と当事者の相互理解の強化と相互が支えあえる世界を作っていきたいと思っています。

イラストレーター/てぃだぁら
インスタ@tidarrat0106

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