COLUMN
ジェンダーフリーとは?意味や定義について。性にとらわれることなく、自らが望む選択を。
LGBTをはじめとした多様なセクシュアリティへの理解が叫ばれている昨今。
性に対するさまざまな考え方も尊重され始めています。そんな数ある考え方の中のひとつが、「ジェンダーフリー」です。
一度は耳にしたことがあるかもしれない、この言葉。ここではジェンダーフリーの定義や教育、トレイなどについて考えていきます。
ジェンダーフリーについて
ジェンダーフリーとは一体どんな意味の言葉なのでしょうか。まず、ジェンダーフリーの基本について考えていきたいと思います。
ジェンダーとは?
ジェンダーフリーを知る上で大切なのが、「ジェンダー」という言葉の意味です。人間は生まれた時に生物学的な理由から男性か女性という性別でわけられます。
しかし、生物学的な意味合いではなく社会通念や慣習などによって決まる「男性像」や「女性像」というものがあり、それを「社会的性別」と呼びます。
ジェンダーとはこの社会的性別のことであり、これを前提とした社会制度や社会構造における性のありようなどの意味もふくんでいます。
ジェンダーフリーとは?
ジェンダーフリーとは、前述したような社会的性別による社会構造や社会的な役割にとらわれずにいよう、という考え方。
つまり、「社会的性別などで定められている男女の役割などにとらわれず、一人一人が自由に行動、発言、選択をできるようにしていこう」というものと定義されています。
これは日本はもちろん世界的な規模で考えられていることであり、性の多様性が叫ばれている今大切な考え方ととらえていいかもしれません。
その理由が、ジェンダーフリーという考え方を封鎖してしまうと性的マイノリティの姿が見えにくくなってしまうからです。
ジェンダーフリーとセクシュアルマイノリティ
前述した通り、ジェンダーフリーは社会的性別で定められている性の役割にとらわれずに個人が自由に行動できるようにしようという考え方です。
こう説明するとセクシュアルマイノリティとは一切関連していない…という印象を持つ方もいるかもしれません。しかし、ジェンダーフリーの考え方を知ることは性の多様性を知る上でも重要なポイントがあるのです。
男女二元論
例えば、生物学的に定められる性別は男性か女性です。
しかし、その性別についてどう自認するかは個人の自由と考えることもできます。自分のことを男性と思う人や女性と思う人、中性、両性、どちらでもないという方もいるでしょう。さらに、愛する相手の性別やそもそも恋愛をしないとか、こういった指向も個人にゆだねられるべきかもしれません。
ジェンダーの視点における性別役割分業というのは、ある意味で男女二元論を助長する可能性があり、社会として「性別は男性・女性しかいない」という風潮になってしまうのです。
当然、ジェンダーフリーという考え方を封鎖してしまえばLGBTをはじめとしたセクシュアルマイノリティの方の存在が見えなくなることだって考えられるでしょう。
「男性だから、女性だから、そう昔から決まっているから」。
こういった考え方から開放されることで、広い視野が広がり性の多様性に気がつくことができるのです。
ジェンダーレスについて
ジェンダーフリーについての話題となった時、「ジェンダーレス」という言葉も出てくることがあります。二つとも“”ジェンダーという言葉が使われている以上、同じような意味合いと混合されがちです。
ここからは、ジェンダーレスとジェンダーフリーの違いについて考えて行いきたいと思います。
ジェンダーレスとは?
ジェンダーレスとは、男性と女性の境界線をなくす…という考え方です。ジェンダーレスはファッション業界でも多く使われる言葉であり、ジェンダーファッションという言葉も生まれています。
中性的な性表現という意味でも、ジェンダーレス男子やジェンダーレス女子といった言葉も出てきており、モデルやタレントの方も数多く出てきています。
ジェンダーフリーとの違い
あらためてジェンダーレスとジェンダーフリーの違いをみていきましょう。
ジェンダーレスというのは性別の境界線、性差をなくすという考え方です。一方のジェンダーフリーは性別によるあらゆる社会的な差別や構造をなくしていこうという考え方をいいます。
詳しくいえば、女性だから家に入って家事に専念する、男性だから外に出て働き必ず出世して一家の大黒柱になる…など、こういった社会的な差別をなくしていきたいというのがジェンダーフリー。
そもそも性別というものをなくそうというのがジェンダーレスですので、少し意味合いが変わってきます。
とはいえ、どちらも社会が性別に期待する性における社会通念を一度取っ払い、個人の自由を尊重しようという主張としては近しいものがあります。
違う考え方ではありますが、双方尊重していく姿勢が重要でしょう。
ジェンダー・バックラッシュについて
今後、ジェンダーフリーなど、性差別をなくそうという動きや性に多様性に関係する教育を発展させていくべきかもしれません。
男性・女性という二つの性だけではない性を尊重することにより、今以上に新たな世界が広がることはいうまでもないでしょう。
しかし、こういった動きに反対する圧力があることも知っておくべきです。それが、ジェンダー・バックラッシュです。
ジェンダー・バックラッシュとは?
ジェンダーフリーという言葉が広まりだしたのが、1990年後半頃のことです。さまざまな活動が繰り広げられる中、一部ジェンダーフリーが誤解され始めたことがあるといいます。“性別を無くそうとしている。そんなことになれば、人のアイデンティティーが揺らいでしまう”という誤解です。
こういった誤解から生まれるジェンダーフリーなどの考え方、教育に圧力をかけることを「ジェンダー・バックラッシュ」と呼んでいます。
性の多様性などに関する内容が検定で禁止されるほか、セクシュアルマイノリティに関連する本が図書館で消される、ジェンダーフリーに関連するネガティブキャンペーンをメディアや出版物で行うなど、数多くの圧力行動が行われました。
近年では理解が進みはじめている
しかし、近年では教科書にLGBTについての記述があったり、教育として性の多様性を題材にするなど少しずつではありますがジェンダーフリーへの考え方が浸透し始めています。
もちろん、ジェンダー・バックラッシュの影響を受けてジェンダーフリーという考え方に反対する方もいます。いろいろな見方がありますが双方に誤解をなくし、誰もが住みやすい世の中に進化し続けていることを願ってやみません。
ジェンダーフリーとトイレ
ジェンダーフリーに対する社会的対応の中で、もっとも目に見えてわかりやすいと考えられているのがトイレです。
一体、どのようなトイレなのでしょうか?
ジェンダーフリートイレとは?
海外ではいち早く取り入れられているこういったトイレですが、近年では日本国内でも多く設置されているのを見かけます。男性と女性のピクトグラムなどを使うのではなく、誰でも自由に使えるというマークのトイレなどは、性別を気にせずに利用できる画期的なものです。
男性用と女性用しかない…という状況を打開していくという意味では、こういったトイレの出現はジェンダーフリーという考え方が受け入れられ始めているということでもあります。ぜひ、ご自身でもいろいろ探してみてはいかがでしょうか。
ジェンダーフリーの考え方を知る
社会的構造として男性と女性の性別的役割というものは多く決められています。
目に見える役割はもちろん、無意識下で役割分担されているものもあるでしょう。
まず、本当にその考え方しかないのか、というところから疑問をもつことも大切です。ジェンダーフリーの考え方を知ることが、性への理解を進める第一歩となっていただければ幸いです。
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