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同性婚は日本でなぜ実現されない?理由やパートナーシップ制度との違いについても解説。

同性愛についての理解が少しずつ進んでいる日本。 

パートナーシップ制度の導入が日本の各自治体で進んでいるものの、同性婚については未だ足踏みをし続ける状況です。 

同性婚はなぜ日本では実現されないのでしょうか。ここでは、日本における同性婚が実現されない理由やパートナーシップ制度との違いについて考えていきたいと思います。 

同性婚について 

同性婚について考える際、まず同性婚についての正しい知識を知っておく必要があります。まず、同性婚とは何かについて考えていきましょう。 

同性婚とは? 

同性婚とは、同性同士(男性と男性、女性と女性)が結婚することをいいます。 

同性結婚と呼ばれることもあります。さまざまな国で取り入れられている同性婚は、国によっての違いはあるものの基本的には男女が結婚した場合の社会的な権利、法的な保障や保護などが受けられる場合があります。 

同性婚と憲法 

2001年にオランダが同性婚を認めたことを皮切りに、さまざまな国が同性婚を受け入れはじめました。 

近年では、台湾がアジアではじめて同性婚を認める動きになりつつあるなど、同性愛者の結婚について社会が少しずつではありますが歩み寄り始めたことが理解できます。 

しかし、一方で同性愛を禁止する宗教を信仰されている方が多くいる国などでは、同性婚はもちろん同性愛自体を認めていないとうこともあるため、手放しで同性婚が進んでいるとはいいにくいかもしれません。 

さて、この中で日本は未だ同性婚が認められていない国のひとつです。まず、その理由のひとつが憲法にあるといわれています。 

憲法における解釈 

同性婚を日本で認める上で重要になってくるのが、日本国憲法における解釈です。日本国憲法には、「婚姻は両性の合意に基づいてされるものだ」というように両性という言葉が入っています。 

つまりこの両性を、“男女の間柄でないと結婚はできない”という解釈とした場合、同性婚は違憲となってしまうため法整備を整えることが難しくなります。 

基本的人権との関係性 

日本国憲法は、すべての国民が平等に尊重されるという「基本的人権」に基づいて作成されているものです。憲法ができた頃は同性愛や同性婚という言葉がなかったこともあり、「両性の合意」とのみ記載されていたといいます。 

「基本的人権」という部分が守られることが前提であれば、性別に関わらず婚姻関係を認めるべきという意見もあるのです。 

異性愛主義という考え方 

憲法における解釈が進まない状況である日本。さまざまな政治的な障壁があるという考え方もありますが、一方で日本における「異性愛主義」というあり方がこの問題を複雑化させている部分もあるでしょう。 

一体、これはどういうことなのか考えていきたいと思います。 

異性愛主義 

異性愛主義とは、わかりやすくいうと「性的指向が異性であることが自然であり、普通」という考え方のことです。多くの人は生まれながらに定めれる身体的性において、「男性か女性」という男女二元論の中で性を決められ、その性の役割に伴った行動をしています。 

そして日本では異性愛ということが当たり前といわれる生活や教育を受けることがほとんどで、さらに異性愛という模範の中でジェンダー模範と結びついていきます。 

結果、「異性と付き合い結婚して一人前の人間」とか「女性は子どもを産むことこそ幸せ」、「女性を見て欲情するのは男性として当たり前」など、男らしさや女らしさが強制的に強化される、「異性愛主義」が日本では当たり前の姿になってしまっているのです。 

常識と普通 

このような異性愛主義という考え方が特殊なものではなく、国全体の考え方として定着すると当然問題が発生します。異性愛者こそ普通、男性は男性らしくないとおかしい、女性なのに女性らしくない…。 

このような一方的な価値観に縛られてしまうと偏見などが生まれやすくなり、セクシュアルマイノリティの人たちが生きづらい世の中になってしまう可能性があるのです。事実、日本は未だ異性愛主義という考え方が根強い部分があります。 

こういった社会的な雰囲気も、同性婚が認められにくくなっているひとつの理由といえるでしょう。 

同性婚にかわるものは? 

しかし、冒頭でもお伝えしたように同性愛、そしてセクシュアルマイノリティへの理解は少しずつ社会で広がりを見せています。同性婚が日本で認められるというハードルは未だ高いものの、それにかわる制度などが徐々に生まれ始めています。 

そのひとつが、パートナーシップ制度です。一部、同性愛者が結婚の代わりに利用する養子縁組という方法もありますが、制度的に「親子」の関係性になってしまうため対等の関係にならず抵抗を覚える方も少なくありません。 

一方、パートナーシップ制度は同性婚とは違いがありますが、多くの同性愛者の方が利用している新しい制度です。 

パートナーシップ制度とは? 

パートナーシップ制度とは、取り入れている自治体に住んでいるまたは移住する予定があるというカップルに認められている制度です。 

パートナーシップ制度は法律婚に近い権利や待遇を受けることができるほか、当事者たちが社会に受け入れられているという気持ちの上でもメリットのある制度です。 

渋谷区と世田谷区ではじまったパートナーシップ制度は、今では東京都内はもちろん日本全国の自治体に広がりを見せている制度であり、同性婚の代わりとして多くの同性愛カップルが制度を利用しているといわれています。 

同性婚との違いは? 

パートナーシップ制度の権利が充実しているのであれば、同性婚は要らないのではないか。そう思う方もいるかもしれません。では、同性婚とパートナーシップ制度は何が違うのかみていきましょう。 

さまざまな違い 

パートナーシップ制度と同性婚の違いには、さまざまなものがあります。 

日本では同性婚が認められていませんが、仮に認められたとしたら法律婚という見方になります。まず、法律婚では配偶者控除と遺族年金が受け取れるのですが、パートナーシップ制度では不可とされています。 

また、生命保険の受取人になれることや公営住宅、カップルでの賃貸契約なども法律婚ではとくに問題はありませんが、パートナーシップ制度の場合は自治体によったりできない場合もあるのです。さらに、法律婚とパートナーシップ制度の大きな違いが、「場所に縛られるか否か」というところです。 

パートナーシップ制度は場所に縛られる? 

例えば、法律婚はどこに引っ越そうが離婚届を出さない限りは夫婦のまま。しかし、パートナーシップ制度の場合はパートナーシップ制度を取り入れている自治体から出てしまうと解消となるというデメリットが存在しているのです。 

つまり、Aという地域では同カップル同士が結婚に近しい間柄で生活できていても、何らかのきっかけで引っ越しとなり、その自治体がパートナーシップ制度を取り入れてなければ解消ということになるということです。 

同性婚が認められる社会へ 

同性カップルが自由に結婚をするということに対して、まだまだ日本国内でのハードルが高いということがお分かりいただけたと思います。 

恋愛の形は人それぞれですが、同性婚が認められることで複雑な制度や偏見などがなくなり、より自由で多様性が認められる社会へと成長していけることでしょう。 

難しい問題ではありますが、目をそらさずに真剣に対峙していくべき問題でもあるのです。 

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