STUDENT COLUMN
専門学校生LGBTsコラム 【0から1へ!はじめの一歩を踏み出すことで自分らしく生きられる世の中に変わる】
私は地方の専門学生でデザインを学んでいるChihiro です。
セクシャリティはXジェンダーの中性です。私は自分のセクシャリティに気づくのが遅く、高校卒業後にXジェンダーを自認するようになりました。それ以降自分のアイデンティティーの一つである性別に気づけたことで自信を持って生活できるようになったこともありましたが、同時にセクシャルマイノリティがいないことにされている、存在を想定されていないと感じる場面に気づくようになりました。
それは学校生活の中にも多くあります。
一部では変わってきましたが、いまだに多くの学校で教員は生徒の名前を性別によって分けています。これは昔から続いてきたことで、同じ苗字の男女がいる場合には役立つかもしれませんが、私はデメリットの方が多いのではないかと思います。理由は戸籍上の性別と自認する性別が違う人が苦痛に感じてしまったり、見た目で性別を判断されてしまうという事実があるからです。自分自身、女子生徒と同じ呼び方をされることにストレスを感じることもありますし、くん呼びにも違和感があります。また、普段は男性に近い格好をしているので目の前で教員に「〇〇さん?くん?」と戸惑われることがありました。セクシャルマイノリティに限らずシスジェンダーの中にもそのような経験がある方がいるかもしれません。見た目や名前でその人の中身を判断するのは失礼なことだと思いますし、自認する性と表現したい性は違うので必ずしも外見と性自認が一致するとは限りません。私は、もし全生徒が性別に関係なくさん付で呼ばれるようになれば学校生活を送りやすくなる人が増えるのではないかと思っています。
そのために自分に何かできることはないかと考え、一人の教員に手紙を書きました。
その手紙で私はその方にカミングアウトをし、戸籍上の性別と自認する性別が違う人や男性でも女性でもないと自認する人がいて、性別で呼び方を分けられることにストレスを感じる人がいるということと、昔から続いてきたことについて考え、必要に応じて変えていくことができる人が増えたらより良い世の中になるのではないかということを伝えました。
手紙をお渡しした数日後、その方からお返事をいただきました。
その方は十年前に教員になり、当初は全生徒をさん呼びしていたそうなのですが、生徒に「男なのにさん?」と言われたことで呼び方を分けるようになったそうです。そして、今も他の教員が同じようにしている中で、勇気がないので何も変えないといった内容が書かれていました。確かに自分だけが変わることには勇気がいります。日本は特に周りと同じようにすることを重要視することが多く目立ってしまうかもしれませんし、批判されるかもしれません。
大勢で一斉に変わればいいのですが一人だと孤独や不安を感じてしまうのが自然だと思います。しかし誰か一人が、私たちのような存在に気付いてくれたら今よりは確実に学校で安心して生活できる人がいるのではないでしょうか。
自分らしく生きるための0から1
0から1になることで、自分らしく生きられる人がいるのではないでしょうか。そして後を追って気付いてくれる人が増えたら性別で生きづらさを感じる人は徐々に減っていくと思います。私はその一人になってくれる誰かを探しているのかもしれません。あのお手紙を読んでからは私自身がその一人になりたいと思うようになりました。当事者である私にもできることがありますし、当事者だからこそできることもあるのかもしれません。
何かを変えたいと思ったとき、大きなことをしなくても方法はたくさんあると思います。
募金をしたり調べたりすることでそのことに関わることになると思うからです。
セクシャルマイノリティについても同じです。当事者は他のどこでもない同じ世界にいます。気付いていないだけですぐそばにいるかもしれません。みんなが普段の何気ない言動が誰かを傷つけていないか考えるだけでも救われる人はいると思います。
きっと、自分と違う誰かの存在を尊重できる世の中になることを願って、私はこれからも自分にできることをしていきたいと思っています。
地方の専門学生 Chihiro
Xジェンダーの中性