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LGBTsパートナーと一緒に住むお部屋を借りる時に気をつけたいこと
【プロフィール】
自分らしく生きるプロジェクトをご覧の皆さん、初めまして、FTMのともり/TOMORI(パピ)と申します。
2019年までFP.不動産コンサルティング会社にてコンサルタントとして働いていた32歳。2020年の現在は独立を機にキャリアチェンジをし、LGBTsに関することや、その他様々な活動を行っています。
そんな僕が、FP.不動産コンサルタント時代に培った経験から「賃貸契約×LGBTs」について書いていきます!
知ることから始めよう!
皆さんの中には、実際パートナーと住んでいる方、お部屋を借りることを検討している方、今後のために知っておきたい方と、お気持ち様々かと思います。
中でも経験のない方にとっては「そもそもどんなことに気を付ける必要があるの?」というのが正直なところですよね。
そのため、契約の関係性からご説明します!
※少々漢字が並びますがサラッとお読みください^^
まず、お部屋を借りる時にする契約を、大まかに“建物賃貸借契約”や“貸室使用賃貸借契約”と言います。
言葉の通り「建物(貸室)を賃金と引き換えに貸し借りする契約」とご理解ください。
つまり、お部屋を貸す代わりにお金を払ってね〜!逆目線から言うと、お部屋を借りる代わりにお金を払います〜!と至ってシンプル!
その払うお金が「家賃」と言われているやつですね。
では、貸す人が誰で、誰にお金を払うのでしょうか?
答えは、貸す人=建物の所有者(もしくは所有者と同等の権利を持つ人)です。
大家さん、オーナーさん、貸主と様々な呼び名もあります^^
なんだか難しい言葉が出てきていますが、理解はすごく簡単です!
皆さんにも自分で購入して“自分の物”としてお持ちのものがありますよね?
例えば、洋服、靴、スマホ、PC、車などをイメージしましょう!
自分で購入した自分の物は、使おうが使わなかろうが、どう使おうが、例えば誰かに貸そうが、あげようが、それはあなたの自由です。
つまり、建物においてもそれと同じで、建物を持っている人が、貸すよ〜!使って使って〜!但し、有料〜!と条件を決めて貸しているのです。
なので、建物の持ち主が貸してくれるので貸してくれた人にお金を払います。
賃貸契約は貸す人と借りる人の契約だよ!ということを押さえておきましょう!
理解してみよう!貸す人の心理
先ほど、「自分で購入した自分の物は、使おうが使わなかろうが、どう使おうが、例えば誰に貸そうが、あげようが、それは所有者の自由」だと述べました。
ここで理解しておきたいのが、自分の物を誰に貸すのかも貸す人の自由だということです。
「え〜!じゃあLGBTsに理解のない貸主だったら借りられない?! 」
と思われる方も居るかもしれませんが、僕が伝えたいのは
“借り手がLGBTsだから貸したくない” と考えるのは軽率だということです。
これは、貸し手側の認識としても、借り手側の認識にも言えます。
想像してみてください、あなたが持っている1番高価なものはなんですか?
もしくはあなたの大切なものはなんでしょうか?
もし、それを有料という条件とはいえ、誰かに貸すとしたらどんな人に貸したいですか?
単純明白に「貸したものを大切に扱ってくれる人」「貸す条件や約束を守ってくれる人」「虚偽の申請をしない人(嘘をつなかい人)」を選びたくはありませんか?
貸す人は、自分の資産のことですから実はとても慎重になっています。
「あなたはどんな人ですか?」
「あなた方はどんな関係性ですか?」
「どんなお仕事をしていて、どのくらいの収入がありますか?」
例えば、あなたの所有するお家を家賃20万円で貸すとしましょう。
Aカップルの場合
1人目の月収が30万、2人目の月収が25万
二人の月の収入合計55万円。
Bカップルの場合
1人目の月収が50万、2人目の月収が0万
二人の月の収入合計50万円。
上記2ペアだとしたら、あなたはどちらのカップルに貸したいと思いますか?
考え方はいくつもありますが、収入額でいえばAカップル。
そうは言っても、そんな大差がないのでむしろどちらでも良いんじゃないか?とすら思えてきます。
しかし、実際はBカップルを選ぶ貸主が多くいました。
申し込みの内容を見て、貸主は「二人で住むお部屋として検討している」ことを知っています。
しかし、貸す側は“出来るだけ長く住んで欲しい”と考える傾向があるため、貸主は二人がもし別れた場合でも1人で住めるか?払えるか?を考えていたりします。
何故なら、契約後数ヶ月でカップルが破局し、その時点で解約となると貸主にとっては入る予定だった家賃収入のあてが無くなるため、価値のあるものを活用出来ないことで損失でしかありません。
そのため、貸主はBカップルの1人目を契約者として契約をすることを選びます。
ここまでの説明で、Bカップルを選ぶ基準をお伝えしました。
続いて、住む人の関係性について貸主がどのような印象を持っているかに触れてみましょう。
LGBTsは関係ない?
貸主にとって重要なことは“収入源の信憑性”や“支払元の安全性”。
今ではLGBTsに関する世の中の認知度も深まりつつあることから、LGBTsだからどうこうと考える貸主は減ってきています。
つまり、セクシュアルマイノリティについての認識のなかった貸主が、借りたいと望む人や自分の身近にLGBTsの人たちが居るという馴染みが出てきた分、貸し出し選考への影響が薄くなってきました。
それでも、これまでお部屋を借りる際に「セクシュアリティ」に関連することで嫌な思いをされた方もいると思います。
しかし、それは貸す人たちにLGBTsへの理解がなかったことから“知らずして何かしらの判断をした結果”だと仕事を通して知ることができました。
残念ながら、今でも認識の不一致により行き違いが生じるケースはあります。
“収入源の信憑性”や“支払元の安全性”を重きに捉えている貸主は家賃での収入を途絶えさせたくないが故に、借りてくれる人たちの関係性を気にしているからです。
そして下記のようなイメージが根付いている貸主も少なくないでしょう。
ルームシェア < 恋人同士(カップル)< 夫婦(婚姻関係の有無)
別れない可能性が高いのは?長く住んでくれる可能性が高いのは?を借りてくれる二人組がどんな関係性なのかで予測しています。
しかし、僕らLGBTs当事者目線では
ルームシェア = 恋人同士(カップル)であることもあれば、同棲だったり同居だったり表現もそれぞれで、恋人同士(カップル)= 内縁を含む配偶者同士 だったりもしますよね。
こうして並べてみると、認識の不一致が分かりますね。
LGBTsパートナーとの関係性について、貸主(相手)に分かり易いぴったりな単語が決まっている訳でもありませんし、人によって理解度や解釈にバラつきがあるからこそ、パートナーとの絆や信頼があることが伝わらないケースはまだまだあります。
大切なのは双方の理解と何かしらの歩みより
ここまで、あえて“貸主目線”や“貸主思考”を書きました。
不動産コンサルタント現役時代の僕は、貸主と借主、あえて言葉を使うなら、貸し手(マジョリティ)と借り手(マイノリティ)の橋渡しを行うにあたり、相反する立場の者たちにとってwinwinな結果が何かと日々真剣に考えていました。
時には、LGBTsパートナーの入居に理由なく反対する貸主に僕もLGBTsであることを告げ、LGBTsとそうでない人達の何が違うのか、カップルだろうが夫婦だろうが別れる時は別れ、他所様の関係性の可能性なんて測れるものじゃないこと、関係性で判断をすること、人としてLGBTsがなんだと言うのか!と当事者として熱弁することもありました。
そして、僕はLGBTs当事者であり業界のプロとして、ただ純粋に希望のお部屋に住みたいと思う人達がセクシュアルティを理由に断念することも、または偽って借りようとする行為を黙認することも解せない気持ちがありました。
その度に「偽って借りる選択をせず、事実を告げることを承諾してくれませんか?貸主に説明をして、納得した上で判断してもらいましょう!」と承諾をいただいた上で、何人もの人達に出来る限りの説明をしてきました。
それでもLGBTs当事者の中には
・一人で住むと見せかけて
・兄弟姉妹と住むと偽って
・友人とのルームシェアと申請して
なんとか真実を隠し、パートナーと住む部屋を借りようとする人たちが居ます。
その行為は、虚偽の申請で契約違反行為に該当するだけでなく、現状そのものが多角的に見てとても悲しくはありませんか?
そんな思いから大切なのは双方の理解と、何かしらの歩みよりだと思うようになりました。
分かってもらうために、まずは“伝える”
僕たちはLGBTsに該当するだけで、何も悪いことはしていませんよね。
けれど「該当するというだけで受け入れてもらえないから…」と偽ってしまっては結局悪いことをしてしまうことになります。
これは、マジョリティVSマイノリティの話ではありませんし、貸主は敵でもありません。
だからこそ、貸主が何を持って安心をするのか?その判断材料は何なのか?と相手の目線や立場を知ることから始め、“伝える”を増やして行けたら「パートナーとの新しい生活」をより良いものにしていけるのではないかと考えています。
自分らしく生きるためにプロジェクト!!
〜LGBTsパートナーと一緒に住むお部屋を借りる時に気をつけたいこと〜 編
相手に偽るために、自分で自分を偽らず。