こんにちは！FtMの優磨です。現在高校2年生で、既に学校などでカミングアウトしており、クラスメイトや同じ部活の人たち、関わりのある先生方は僕が性同一性障害だということを知っています。また、昨年の10月にはホルモン注射を打ち始めることもできました。性同一性障害であることが原因で嫌がらせを受けるなどということは今まで一切なく、周りの人に恵まれているというのは日々感じています。しかし、そんな環境で過ごす僕でさえ、生活の中で性別に関するストレスを感じることは少なくありません。今回は、その原因となっている世の中の現状について書いていきたいと思います。

僕がストレスを感じる場面としてまず挙げられるのは、名前を呼ばれるときです。クラスメイトや仲の良い人は皆、カミングアウトしてからは僕のことを名字呼び捨てで呼んでくれています。しかし、先生の多くは男女でくん付けとさん付けに分けて呼び、その中で僕はさん付けで呼ばれることもあります。今はだいぶ心に余裕ができ、軽く流せるようになってきましたが、以前は名前を呼ばれるたびにダメージを受けていました。

そして、この呼び方で困っているのはきっと僕のように性別に違和感を持つ人だけではありません。僕のクラスにはボーイッシュな子が何人かいます。(彼らのセクシャリティは知りませんが)  制服がないため、男女を見分ける方法が名前を見ることくらいしかなく、彼らのうちの中性的な名前の子はくん付けで呼ばれていることも少なくありません。彼らが実際にそれで嫌な思いをしているかは分かりませんが、大きなストレスとなっていてもおかしくないと思います。授業中に男女の区別をしなければならない理由はないはずなのに、それをすることが主流となっているのが現状なのです。とは言っても全員、さん付けで統一している先生もおり、その先生の授業は安心して受けることができます。僕は全員呼び捨てでいいと思いますが、それに抵抗がある方がいる場合、さん付けに統一すればストレスを感じる生徒はとても減ると思います。

もちろん、無意味に男女で分けられる場面は名前を呼ばれるときだけではありません。そして、僕が性別に関するストレスを受けるのは、そうやって意識的に男女で分けられる場面だけではないのです。というよりむしろ、カミングアウトの済んでいる僕にとっては、これから書くことの方が大きな問題であるかもしれません。

僕がクラスメイトにカミングアウトしたのは今年度の1学期の終わりのことです。それ以前にも仲の良い友人や家族、関わりの深い先生方にはカミングアウトしており、僕自身としては、早く男として生きたいという願望が強かったこと、カミングアウトをすることによるデメリットはほとんどないと思っていたこと、ホルモン注射を打ち始める時期が決まったことからクラスメイトにもなるべく早く、できれば年度の初めにしたいと思っていました。しかし、先生と話し合い、今は新型コロナウイルスの影響で生活様式が変わり始めたばかりでみんなも精神的に余裕がないかもしれないからもう少し待とう、ということになりました。１学期の終わりに保健の授業で性について扱うことになっていたため、担任が保健体育の先生だということもあり、そこに合わせてカミングアウトしました。冒頭でも少し書いたとおり、みんなすぐに受け入れてくれました。しかし、昨年度まったく関わりのなかった人でも数ヶ月間を共に過ごしてからのカミングアウトとなったため、彼らにとって僕が”女子”であったという変えることのできない事実ができてしまったのです。それゆえに、カミングアウトしてからも、無意識に僕が女子であることを前提としているのだなぁと感じる言葉を受けることが多々ありました。彼らに悪気がないのはよく分かるのですが、人間関係において性別というものの存在がとても大きいことを痛感させられました。

なぜ人々は性別で様々なことを分けたがるのでしょうか。もちろん、性別で区別しなければならない場面があるということは承知しています。しかし、僕には無意味な区別が多すぎるような気がしてならないのです。それがされる理由は、「なんとなく、これまでそうだったから」くらいのものなのだと思います。しかし、その「これまで」の影響は無意識的なところにまで及んでおり、それによって苦しんでいる人が多くいるのです。

僕の将来の夢は、中学校の先生になって苦しんでいる子どもを救うことです。僕は、悩みを抱える人と接するうえで、世の中の当たり前を疑うことができないというのは相手にさらなる苦しみを与えうるのだということを知ることができました。もしもこれから先自分の悩みが解決してなくなっても、この今の気持ちを忘れずに、より多くの人が幸せに生きられる世界を作るために、「これまで」にとらわれない意識を持った行動をし続けていきたいです。

高校2年生 FtM 優磨