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クローゼット(性的指向)とは?意味や言葉の起源は?LGBTに関わる用語を解説。
LGBTに関連する用語の中に、「クローゼット」というものがあります。
クローゼットというと一般的には押し入れを意味していますが、LGBT用語におけるクローゼットは「性的指向」という意味合いで使用されています。ここでは、クローゼット(性的指向)の意味、言葉の起源や用語について解説していきたいと思います。
クローゼットについて
当事者が自らのセクシュアリティを周囲に打ち明けることをカミングアウトといわれていますが、「クローゼット」とは切り離すことができないといわれています。
まず、クローゼットがなぜLGBTなどセクシュアルマイノリティに関連しているのかわかりやすく解説していきましょう。
性的指向をしまいこんでいる
状態冒頭でお伝えした通り、クローゼットは性的指向に関連する言葉です。
私たちは衣類をクローゼットにしまい込みますが、その状態を当事者の性的指向に見立てて、「クローゼット(性的指向)に隠している状態」といったニュアンスで使われています。
当事者の方それぞれに自身のセクシュアリティについての思いがありますが、カミングアウトすることは勇気がいることかもしれません。
遊び半分で使うような言葉ではないことは、しっかりと覚えておきましょう。
クローゼットの起源
そもそもクローゼットという言葉はどこから生まれたのでしょうか。
クローゼットの起源とは?
クローゼットという言葉は、1950年代のアメリカから始まったという説が有力です。
第一次世界大戦後のゲイの方はカミングアウトという言葉はなかったものの、「into」という表現はあったといわれています。
intoが意味するところは、同性愛の社会やゲイの世界の“中に入る”ということを意味しており、当時から人々の交流も盛んだったことからそれをクローゼットに隠してるような状態…ということからこの言葉が使われるようになったといわれています。
クローゼットとLGBT
クローゼットは、LGBTなどセクシュアリティに関連する言葉であることはお伝えしました。ここからは、クローゼットに関連しているLGBTとは何かに…についてお伝えします。
LGBTについて
LGBTとは、セクシュアルマイノリティの総称として使われている言葉です。
★レズビアン(Lesbian)
★ゲイ(Gay)
★バイセクシュアル(Bisexual)
★トランスジェンダー(Transgender)
これら4つの頭文字から構成されているLGBTですが、それ以外にもさまざまなセクシュアリティがあります。
クローゼットは、性的指向とお伝えしましたがクィア、クエスチョニング、インターセックスなどもふくめて、性同一性についても関連します。
要するに、語源から性的指向に関連するセクシュアリティの方が表にカミングアウトできないことをクローゼットとイメージされるのですが、性的指向だけでなくさまざまな要素におけるセクシュアリティも関連していることも重要なポイントです。
身体的性と性自認が一致していない方であれば、クローゼットではない…ということでもないということです。
クローゼットとカミングアウト
クローゼットとカミングアウトは、結びつきの強い言葉として知られています。
ここからは、クローゼットとカミングアウトについて考えていきましょう。
カミングアウトとは?
カミングアウトとは、「Coming out of the closet」という言葉が短縮されたものです。この文字を見るとわかりますが、日本語で訳すと“クローゼットから表に出てくる”という意味になります。
現在のようにセクシュアリティの多様性に社会が寛容ではなかったアメリカ。性的指向が同性愛者の方などは、“暗い押し入れの中に閉じ込められている”と暗喩されていた時代で、「暗いクローゼットの中から出て、真の姿を解放する」という意味でカミングアウトという言葉が生まれたとされています。
クローゼットとアウティングについて
クローゼットとカミングアウトは繋がりがありますが、あとひとつ重要な言葉として覚えてほしいのが、「アウティング」という言葉です。ここからは、クローゼットとアウティングという言葉について考えていきたいと思います。
アウティングとは?
そもそもアウティングとは何かについて考えていきます。アウティングとは、当事者の方の了解なく、その方のセクシュアリティなどを周囲に第三者が言いふらす行為のことをいいます。
例えば、Aさんというゲイの方がいたとします。
そのAさんが信頼しているBさんだけに、「周囲の人には言わないで欲しいのだが、自分はゲイだ」とカミングアウトしました。しかし、Bさんはその約束を守らずにCさんやDさん、またAさんが知らないBさんの友人たちに言いふらしたとしましょう。
当然、AさんはそのBさんの行為に深く傷つきます。これが、アウティングです。
クローゼットは当事者の気持ち
クローゼットとアウティングの関係性は、今もなお議論が続けられています。まず、アウティングとクローゼットの方の関係性の基本として、当事者の問題はその当事者の気持ちを最大限尊重するということが重要です。
例えば、アウティングをする方は当事者の方の気持ちや思いを理解できていない可能性が高いと考えられています。
普段、おどけた性格だから人にいっても怒らないだろうとか自分に伝えたのだから周囲にも伝えた方が楽になるはずなど、当事者の気持ちを無視した勝手な行動は許されないということです。
とくに今、LGBTへの理解が進んでいることから、LGBT関連の取り組みをする企業も増えてきています。
しかし、LGBTへの理解がある企業だからといってアウティングしても大丈夫ということではありません。当事者への思いやりと理解を忘れないようにしましょう。
クローゼットと違和感
自らが同性愛者であること、セクシュアルマイノリティであること。これらを洋服ダンスにしまい込んでいるような状態を、クローゼットと呼ぶとお伝えしました。
日本では、カミングアウトしていない状態の方をクローゼットと呼ぶことが一般的とされていますが、そういった方たちに向けてこの言葉を使うのは違和感があるという声もあります。
一体、どういったことなのでしょうか。
自らの幸せ
例えば、クローゼットという言葉はポジティブな意味合いというよりは、語源などからネガティブなイメージを与えやすい言葉と考えられます。
例えば、自らのセクシュアリティをカミングアウトしていない状態というのは、クローゼットに性的指向をしまい込んでいる状態と捉えることができるかもしれません。
しかし、それは不幸なことなのでしょうか。
カミングアウトをすることで幸せになる方もいれば、あえてカミングアウトしないことが幸せの選択である方もいるかもしれません。
こういった意味から、クローゼットという言葉自体を使うことに違和感があるという声も少なくないのです。
これは、人それぞれの考え方でありあり方などで強要はできません。しかし、こういった声をしっかりと受け止め、クローゼットという言葉について真剣に考えることは重要でしょう。
クローゼットへの理解を
クローゼットという言葉が今の時代相応しくない、という声もあります。こういった声を理解するためにも、クローゼットについて知っておく必要があります。
当事者の気持ちを考えるためにも、クローゼットについて勉強するようにしていきましょう。
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