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クィア理論とは?意味やLGBTとの関係性について、わかりやすく解説。

数多く存在するセクシュアリティの中のひとつ、「クィア」。 

LGBTに代表されるセクシュアルマイノリティと同じように扱われているものの、その中身はやや難しくしっかりと理解しておく必要があるといわれています。 

ここでは、「クィア」の意味やクィア理論について、そしてLGBTとの関係性について考えていきたいと思います。 

LGBTとQ 

クィア理論について考えるためには、LGBTとの関係性について考える必要があります。まずは、LGBTについておさらいしていきます。 

LGBTって何? 

LGBTとは、「レズビアン(Lesbian)&ゲイ(Gay)&バイセクシュアル(Bisexual)&トランスジェンダー(Transgender)」の4つの頭文字から構成されている言葉です。 

セクシュアルマイノリティの総称といわれている言葉であり、近年広く知られるようになりました。しかし、セクシュアルマイノリティはLGBTだけではありません。そのため、ほかの言葉も多く生まれています。 

LGBTQについて 

セクシュアリティには多様性があります。LGBTだけでは4つのセクシュアリティしかないと思われる部分もあるため、近年さまざまな言葉が生まれ始めています。 

全ての人にセクシュアリティが関連するという意味を持つSOGIをはじめ、LGBT以下にさまざまなセクシュアリティの頭文字がつけらたものが生まれているようです。 

そのひとつが、LGBTQ」。 

この「Q」は、自分の性を決めかねていたり、あえて決めてないという「クエスチョニング(Questioning)」といわれることもありますが、あと一つ「クィア(Queer)」もこれに当てはまります。 

つまり、LGBTQという言葉はクエスチョニングとクィアの頭文字から構成されている言葉ということになるのです。しかし、LGBTとクィアはそのあり方に若干違いがあるかもしれません。それについては、後述していきます。 

クィアについて 

さて、LGBTQQがクィアであることがわかりました。 

とはいえ、レズビアンやゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーと比較するとクィアはまだ認知度が高いとはいえません。クィア理論を知る上でも、クィアとはどういったセクシュアリティなのか考えていきましょう。 

クィアとは? 

クィアは、もともと「風変わりなといった意味を持っていた言葉です。 

以前は、同性愛者への侮辱語として使用されていた過去がありましたが、1990年代移行はセクシュアルマイノリティを包括する肯定的な言葉として使用されています。 

以前、侮辱語として使用されていた言葉でありながら、性的指向や性自認、異性愛など、そういった当事者たちを言及するという適切な意味での用語として自己肯定的な意味で使われているということになります。 

学問領域で使用された 

なぜ、1990年代からクィアは肯定的な意味で使用されるようになったのでしょうか。そのきっかけのひとつが、1990年2月に、カリフォルニア大学サンタクルーズ校でおこなわれた研究会議「クィア・セオリー」です。 

当時セクシュアルマイノリティに差異がなくひとかたまりに語られることを問題提起する機会として開催された同会議。 

テレサ・デ・ラウレティスによって、セクシュアルマイノリティという単一な概念から、多様性のあるセクシュアリティーズや変数を組み入れてアプローチできる言葉として、「クィア」という言葉を使用したことがはじまりとされています。 

クィア理論 

クィアは、近年肯定的に使用されている言葉です。前述したように、ひとつ概念のようなかたちで存在している言葉であることから、「クィア理論」といった言葉も存在しています。 

ここからは、クィア理論について考えていきたいと思います。 

クィア理論とは? 

クィア理論とは、セクシュアルマイノリティの思想であったり文化、歴史などを研究対象とする分野で使用される理論。 

ジェンダー研究の中でも、さまざまなセクシュアリティを対象とする分野に「クィア研究」というものがあり、そこで構成されながら整理された思考の枠組み全般を総称したものを、「クィア理論」と呼んでいます。 

前述したように、男性同性愛者やk女性同性愛者の間で軋轢があったり、セクシュアルマイノリティの分断が進んでいる中において、セクシュアルマイノリティの連帯を目指すために生まれた理論とされています。 

ジャック・デリダやジュディス・バトラーなどがとくにクィア理論の分野では影響を与えたといわれており、今もなお「クィア理論」に基づいた研究が進められています。 

日本とクィア 

近年、日本国内においてもセクシュアルマイノリティについて理解が進みはじめています。 

では、クィアについてはどのような状況になっているのでしょうか。クィアを題材にした書籍からさまざまな学者が提唱する理論、そしてクィアを定義するべきかなど、いまだ議論が続けられている状態だといわれています。 

日本国内では、英語圏におけるクィアのあり方というよりは、セクシュアルマイノリティやLGBTと同義である、また区別されていない形で用いられている状況があります。 

LGBTとの違いは? 

クィア、そしてクィア理論についてお伝えしてきました。クィアの概念などについては、その歴史的背景を考えたり、利用している理論の内容を理解しておかないと少し難しい部分があるかもしれません。 

さらに、日本では前述したようにLGBTと同義に使われることもあるなど、どういったセクシュアリティなのか…という定義も難しいでしょう。 

まず、ここからはLGBTとクィアの違いはどこにあるのか考えていきたいと思います。 

クィアのセクシュアリティとは? 

前述したように、クィアは以前は風変わりなどといった同性愛者への侮辱語として使われていた言葉ですが、現在はセクシュアルマイノリティを包括する肯定的な用語として使用されている言葉です。 

さて、ここで難しいところがクィアは、このようなセクシュアリティを断言しているわけではないところです。 

しかし、一部に異性愛者ではないが、同性愛者でもない。しかし、いずれ同性愛者になるが恋愛対象が定まっていない方を指してクィアが使われているという声もあります。 

LGBTと一緒なのか? 

そもそも、LGBTは「レズビアン(Lesbian)&ゲイ(Gay)&バイセクシュアル(Bisexual)&トランスジェンダー(Transgender)」といったセクシュアリティの頭文字から構成されている言葉です。 

性自認と性的指向、身体的性などセクシュアリティを決める要素に基づいて定義されているセクシュアリティであり、クィアのあり方とはやや違いがあるような印象もあるでしょう。 

ただし、前述したような同性愛者でも異性愛者でもないセクシュアリティをクィアと呼ぶ…という概念に基づけば、LGBTQに該当しても違和感がないかもしれません。 

もう少し検討が必要 

しかし、クィア理論があるように、クィアは同性愛者やセクシュアルマイノリティを包括している肯定的な言葉といった概念で見ると、少しニュアンスが違います。 

このあたりは、まだはっきりと定義されているわけではありませんが、目を背けずに真剣に対峙すべき問題なのではないでしょうか。 

クィア理論を考えてみよう 

クィア理論は、少し理解に時間がかかる話題かもしれません。 

 しかし、セクシュアルマイノリティのあり方を知る上では、とても勉強になる学問のひとつでもあります。ぜひ、興味が湧いた方は深堀りしてみてはいかがでしょうか。 

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