COLUMN
パンセクシュアルの意味とは?バイセクシュアルとの違いや、診断項目も紹介。
LGBTへの理解が進む中、「LGBTだけではないセクシュアリティ」についての話題も注目されるようになってきています。
世の中には男性・女性だけでないさまざまな性があり、それをひとつずつしっかりと認識することが重要です。
ここでは、数あるセクシュアリティのひとつ「パンセクシュアル」について解説していきます。診断項目なども合わせて確認してみてください。
セクシュアリティの多様性について
パンセクシュアルを知る上で知っておきたいのが、セクシュアリティにはさまざまな種類がある、というところです。
冒頭でお伝えしたように世の中には男性・女性という性だけではない、多様な性の方がいます。
パンセクシュアルもセクシュアリティのひとつであり、決して突出した特別なものと捉えてはなりません。
さて、そんなセクシュアリティを定義する要素がいくつか存在しています。まず、セクシュアリティを決めるための要素についてみていきましょう。
身体的性
身体的性とは、外陰や内陰、染色体など生まれた時に定められている身体的な性のことです。
性自認
性自認は、自らの性を自分自身がどのように認識しているかという要素です。
例えば、身体的性が男性である方が自分のことを女性だと思っていた場合、性自認は「女性」になります。
性的指向
性的指向とは、どのような人に恋愛感情を抱くか…という要素です。男性が好きという方は性的指向が男性に向いており、女性が好きという方は性的指向が女性に向いているという捉え方となります。
性表現
性表現は、自分自身がどのように自分の性を表現しているか、という要素です。
例えば、身体的性が女性の方が男性的なファッションや髪型、言動で表現していた場合、男性の性表現という解釈になります。
LGBTについて
セクシュアリティを決める要素を確認していきました。
この要素を理解することで、パンセクシュアルがどういったセクシュアリティなのかわかりやすくなると思います。
さて、パンセクシュアルを知る上で欠かせないのがLGBTという言葉です。LGBTとは、セクシュアルマイノリティの総称とされている言葉であり、4つのセクシュアルマイノリティの頭文字から構成されています。
LGBTの基本を知ると、よりパンセクシュアルへの理解が深まるでしょう。
LGBTを解説
LGBTは、「レズビアン(Lesbian)・ゲイ(Gay)・バイセクシュアル(Bisexual)・トランスジェンダー(Transgender)」の4つのセクシュアリティの頭文字から構成されている言葉です。
レズビアンは、「女性同性愛者」のことで、ゲイは「男性同性愛者」のこと。バイセクシュアルは「両性愛者」のことで、トランスジェンダーは「性別越境者」と翻訳されています。
先ほど確認したセクシュアリティを決める要素に基づいて定義されているセクシュアリティであり、「セクシュアルマイノリティ」の中でも比較的認知度が高いものと考えられます。
さて、パンセクシュアルはLGBT以外の性であり、まだまだ認知度が高いセクシュアリティではありません。ここからは、これらセクシュアリティの情報を踏まえてパンセクシュアルについて考えていきましょう。
パンセクシュアルについて
パンセクシュアルというセクシュアリティは、LGBTの「B」であるバイセクシュアルと混合されることがあります。その理由は、「似ているから」です。
しかし、パンセクシュアルとバイセクシュアルは考え方が全く違う別々のセクシュアリティ。同じようなもの…という解釈で覚えてはなりません。
まずは、パンセクシュアルについて知っていきましょう。
パンセクシュアルとは?
パンセクシュアルは、日本語で「全性愛者」と翻訳されているセクシュアリティです。
詳しく解説するとパンセクシュアルは、「恋愛感情を抱く相手のセクシュアリティ(性)を条件としていない」という考え方のセクシュアリティになります。
例えば、男性を好きという方は性的指向が男性に向いている、女性が好きという方は性的指向が女性に向いていると考えられます。
しかし、パンセクシュアルの場合はその「性」の区別をつけておらず、全てのセクシュアリティの方に性的指向が向いているセクシュアリティなのです。
バイセクシュアルとの違いは?
バイセクシュアルは「両性愛者」と翻訳されているセクシュアリティと前述しました。
詳しく解説すると、「男性と女性の両性に恋愛感情を抱くセクシュアリティ」ということになります。性的指向で考えると、男性と女性に向いていると捉えることができるでしょう。
さて、パンセクシュアルと似ているようですが、大きな違いがあることがおわかりでしょうか。
バイセクシュアルは、男性と女性という「両性」に対して恋愛感情を抱きます。
一方、パンセクシュアルの場合は男性や女性、中性など「性」を問わず恋愛感情を抱くセクシュアリティ。
相手のセクシュアリティにとらわれることなく、好きになる…という点で違いがあることがわかるはずです。日本語で翻訳した時の、「全性愛」と「両性愛」という言葉をみるとよりしっくりと来るのではないでしょうか。
ポリセクシュアル
バイセクシュアルとパンセクシュアルの違いだけでなく、近頃ではポリセクシュアルも比較されるようになってきています。
ポリセクシュアルは、日本語で「複数性愛」と翻訳されているセクシュアリティ。
詳しく解説すると、「複数のセクシュアリティを好きになる」というセクシュアリティです。
男性や女性、Xジェンダーの方やクエスチョニングなどさまざまなセクシュアリティの方を好きになれるというセクシュアリティですので、パンセクシュアルと近しいイメージがあるでしょう。
しかし、ポリセクシュアルは好きになるセクシュアリティが複数あるということですので、人によって好きにならないセクシュアリティもある点でパンセクシュアルとは違ってきます。
バイセクシュアル、ポリセクシュアル、パンセクシュアル。
ネーミングが近いですが、それぞれ全く別のセクシュアリティであることを理解しておきましょう。
パンセクシュアル診断について
パンセクシュアルの特徴を知っていった上で、自らはパンセクシュアルなのか気になる方も出てきたかもしれません。
近頃では、自らがパンセクシュアルかどうか診断できる、簡単な診断テストがインターネット上でできるようになってきています。
もちろん、あくまでインターネット上での診断であり、パンセクシュアル診断の項目に全て当てはまったから確実にパンセクシュアルではありません。
あくまで、“傾向”であり、自らのセクシュアリティを本格的に知るためには専門クリニックなどに相談する必要があります。それを踏まえた上で、パンセクシュアル診断を簡単にしてみてください。
パンセクシュアル診断項目
パンセクシュアルの診断項目を用意しました。
★恋愛相手の性別を意識するか
★性別によって態度を変えたことがあるか
★自らの性別が気に入らないと思ったことはあるか
★外見と内面が違う方でも恋愛感情を抱くか
★男性らしさ女性らしさという価値観はあるか
★性別に偏りなく友人が多い
性別についての考え方
これらが当てはまったから、パンセクシュアルである…ということではありません。
あくまで傾向であり、もしかしたら別のセクシュアリティである可能性もあります。
また、パンセクシュアル診断でもっとも重要なことは対峙する相手に“性別”というバイアスが一切かかっていないかです。
例えば、性自認が男性の方が弱音を吐いたりウジウジしていた時、“男らしくしてほしい”と思った場合は性を意識していると考えられます。男性から、女性だから、性別を決めていないから…。
性による役割などを見るのではなく、その人個人のあり方だけで相手を見ているかも重要な要素となってくるでしょう。
繰り返すようですが、これら診断で全てのセクシュアリティが決まるわけではありません。気になる方は、専門クリニックなどでしっかりと診断してもらうようにしましょう。
パンセクシュアルというあり方
パンセクシュアルやバイセクシュアル、ポリセクシュアルなど、さまざまなセクシュアリティがあることを理解いただけたと思います。
大切なことは、セクシュアリティに正しいとか間違っているとか、そういったものはないということです。パンセクシュアルを理解し、そのあり方を理解する。そういった気持ちでセクシュアリティについて学び続けていきましょう。
「自分らしく生きるプロジェクト」では、自分らしく生きる様々な人たちのインタビューやメッセージ・フレンドリーな企業・多様性なライフスタイルのコンテンツをご紹介しています。ぜひ公式サイトをチェックしてみてください。