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LGBTに関する日本の現状と取り組み。割合や結婚について。海外と比較しながら解説。

近年、多くの場で取り上げられるようになってきたLGBTという言葉。

少しずつですが、LGBTが社会的に注目されてきている結果といえるでしょう。 

しかし、まだまだ日本はLGBTへの対応が遅れているという声もあるようです。ここでは、LGBTに関する日本の現状と取り組みや割合、結婚についてなど、海外と比較しながら解説していきます。 

LGBTという言葉の意味 

LGBTの問題について考える時、LGBTという言葉の意味をしっかりと理解しておく必要があるでしょう。

ここからはまず、LGBTという言葉の意味について考えていきたいと思います。 

LGBTとは? 

そもそもLGBTとはどういった言葉なのでしょうか。 

LGBTとは、「★レズビアン(Lesbian)★ゲイ(Gay)★バイセクシュアル(Bisexual)★トランスジェンダー(Transgender)」の4つの頭文字から構成されている、セクシュアルマイノリティの総称として使用されている言葉です。 

LGBTだけではない性について 

LGBTの取り組みや問題を考える時、LGBTだけの方の問題」と捉える方もいるかもしれません。 

LGBTは、セクシュアルマイノリティの総称ですが全てのセクシュアリティを包括しているわけではありません。身体的や性自認、性的指向、性表現など、私たちのセクシュアリティを決める要素はさまざまあります。 

前述しただけではなく、パンセクシュアルやクエスチョニング、クィア、トランスヴェスタイトなど、セクシュアリティは多様でありひとつに括ることはできません。 

LGBT関連の問題を考える際には、LGBTだけではなく、全てのセクシュアリティやジェンダー平等などの視点も考慮しながら考えていく必要があるでしょう。 

日本におけるLGBTの取り組み 

LGBTの基本知識についてお伝えしてきました。ここからは、日本におけるLGBTの取り組みについて考えていきましょう。 

日本におけるLGBTの取り組みについて 

まず、LGBTにおける日本全体の取り組みについて考えていきましょう。 

じつは日本政府として、LGBTやジェンダー平等におけるさまざまな法律などが整備されています。2003年に成立された「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」。 

さらに、文部科学省が2014年に学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査なども公表しています。 

教育現場に向けた取り組みのひとつとして、「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」という基準が設けられていたり、2016年には教職員に向けてLGBTの子どもなどへの支援をするための手引を作成するなど積極的な取り組みがおこなわれています。 

課題は山積 

これらに加えて、自民党における「性的指向・性自認に関する特命委員会」などが設置されているなど、一見さまざまな取り組みがおこなわれているように見えるでしょう。 

しかし、だからといってLGBTの問題が解決している…とは言いがたい状況でもあります。未だ教育現場でLGBTを取り巻く問題は起こっていますし、一部国会議員がLGBTを侮辱する寄稿をしたり、実際にその制度が全国民に理解されているのか…という疑問は残ります。 

また、後述するように海外では同性婚を認める国などが増えている中、日本は未だ同性婚は認められず、同性パートナーシップ制度というかたちのままです。 

日本は先進国として知られていますが、LGBTへの取り組みの分野で世界をリードする存在となっていく必要があるのではないでしょうか。 

LGBTの割合について 

LGBTへの少しずつ広まっている今、LGBT当事者の方がどのくらいいるのかを知ることも重要です。ここからは、LGBTの割合について考えていきたいと思います。 

11人に1人がLGBT 

ダイバーシティ&インクルージョン領域の研究をおこなっている電通ダイバーシティ・ラボがおこなった、セクシュアルマイノリティーに関する大規模調査「LGBT調査2018」。 

これによると、LGBTの比率は8.9%だったと示唆されています。 

この数字は、11人に1人の割合と捉えることができ、電通ダイバーシティ・ラボでは、「日本にいる左利きの人とほとんど同じ割合」という表現でLGBTの割合を公表しました。 

調査によって変化する 

しかし、ほかの調査では13人に1人という数字があったり、中には全体の3%しかいないという調査報告があります。 

地域性や調査人数、調査方法も関連していますし、自らをセクシュアルマイノリティと自認していない、またはしたくないという方もいるかもしれません。 

あくまで割合は参考という形で確認しておくのがよいのではないでしょうか。 

日本におけるLGBTの結婚 

LGBTの取り組みについて考える際、「結婚」について考える必要があります。海外の事情と比較しながらその実態を見ていきましょう。 

日本における同性婚 

前述していますが、日本では未だ同性婚は認められていません。 

その理由のひとつが、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」という、日本国憲法第24条1項にある文言です。 

ここでいう「両性」という言葉は、男性と女性を意味しているという解釈が現在では尊重されており、同性は法律婚できないと捉えられてしまうからなのです。 

同性婚と海外 

2001年4月から同性婚を法的に認めたオランダ。それを皮切りに、ベルギー・スペイン・カナダ・南アフリカ、さらに台湾などが今では同性婚を認めています。もちろん、前述したように日本では認められていません。 

ただし、モーリタニア・スーダン・イエメンといった国などでは同性愛自体が違法とされており、極刑になりえる可能性すらあると言われています。 

日本が遅れている…という理解もできますが、同性愛自体は違法ではありません。難しい問題ですが、世界全体が平等な社会となることを願わざるを得ない状況でもあるのです。 

同性パートナーシップ制度について 

海外には、同性婚ではなく登録パートナーシップというものが認められている国があります。 

現在、日本でも自治体が同性パートナーシップ制度を認めていますが、どこに違いがあるのか考えていきたいと思います。 

登録パートナーシップについて 

登録パートナーシップは、イスラエル、イタリア、エクアドル、キプロスなど17カ国で認められている制度です。 

登録パートナーシップは国によって制度が変わってくるので難しいですが、基本的には同性婚に近しい権利を得ることができるという制度です。 

もちろん、同性婚と同等の権利は認められていないものの、同性婚が認められていない国の当事者にとっては重要な制度であることは間違いないでしょう。 

同性パートナーシップ制度 

一方、日本では同性パートナーシップ制度という取り組みが各自治体でおこなわれています。 

渋谷区と世田谷区を皮切りに、日本全国の一部自治体が取り入れ始めている制度です。 

しかし、法的な効力を持たないことやその自治体から出て行ってしまうと制度は解消してしまうというデメリットが多く存在しています。 

とはいえ、法律婚ほどではないにせよ、一部制度は認められているため当事者の方たちにとっては重要な制度といえるでしょう。 

今後も取り組みを強化すべき 

日本におけるLGBTへの取り組みは一見進んでいるように見えますが、まだまだ課題や問題が山積しているともいえます。 

一人一人がLGBTなど、セクシュアリティの多様性やジェンダー平等について考えることが大切です。 

ぜひ、新しい景色を日本で実現させるため、ひとつずつLGBTの抱える問題をしっかりと理解していきましょう。 

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