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性の多様性とは?多数存在するセクシュアリティについて理解を深めましょう。

私たち人間は男性と女性の二つの性だけではありません。 

近年、LGBTへの理解が進む中で、「性の多様性」という観点も議題にあがるようになりました。しかし、一口に性の多様性といってもその内容を詳しく理解している方は少ないかもしれません。 

ここでは、性の多様性について、多数存在するセクシュアリティについての解説をしていきます。 

性は二つではない 

性の多様性を考える上で大切なことは、「この世界は男性と女性だけで構成されている」という考え方を捨て去るということになります。まず、「性」ということについて考えていきましょう。 

セクシュアリティについて 

性の多様性を語る上で欠かすことができない言葉が、「セクシュアリティ」です。 

そもそも日本語でいう性にはさまざまな意味がありますが、「人の生まれつき」という意味でも使用されているようです。しかし、ここでいう性を考える時には「セクシュアリティ」という言葉で考えていきます。 

セクシュアリティにぴったりと当てはまる日本語訳がないのですが、「人間の性のあり方」という解釈をすると分かりやすいでしょう。 

性という言葉には、当事者の身体的なものから考え方、立ち居振る舞いなどが含まれます。 

セクシュアリティという言葉自体が、さまざまなあり方という意味を持っており、性の多様性と捉えることもできるかもしれません。 

セクシュアリティというと、私たちは数多くの性を想像できるかもしれないのですが、なぜ「性」というと男性・女性と感じてしまうのでしょうか。 

ジェンダーという言葉 

性の多様性が叫ばれていながらも、なかなか広まっていかない。その理由を考える上で、ジェンダーという言葉も避けて通ることはできません。ここからは、ジェンダーについて考えていきましょう。 

ジェンダーとは? 

ジェンダーとは、社会的な意味合いから見た男女の性区別のことです。 

ただし、さまざまな概念を含んでいるのでこれに限ったことではないことは理解しておきましょう。 

さて、このジェンダーを簡単にいうと「社会的模範における性差」という捉え方も可能です。要するに、「男性だから髪の毛は短く、暗い色のスーツを来て働くこと。一家の大黒柱として外で働くこと」とか「女性は可愛くあること。 男性にたてつかず、家庭を守り配偶者の働きやすい環境をつくるために家事を徹底すること」など、性別による社会的な役割をジェンダーと考えます。 

性の多様性が日本で広まりにくい状況は、このジェンダー問題から見えてくるかもしれません。 

日本におけるジェンダー格差 

毎年、グローバル・ジェンダー・ギャップ(世界男女格差)というレポートが報告されており、2020年の結果も出ています。 

ジェンダー・パリティの指数における日本のランキングは、なんと153か国中121。2019年よりさらに11ランク下がっており、日々男女格差が広がっている状況です。 

「男はこうあるべき。女はこうあるべき」という考え方が根付いているということは、もはや「男性・女性」以外の性が存在することすら認められない…という考え方になってしまいます。性の多様性を考える上で、このジェンダーの問題は必ずクリアしていかないとならないのではないでしょうか。 

性の多様性を知るために 

さて、性の多様性の理解が進みにくい根底には制度や教育、仕事の現場での理解という問題もあるでしょう。 

しかし、根底として性はどのように定義づけられていくのか、その部分を知ることが第一歩です。 

ここでは、性の多様性を知る上で重要な、「セクシュアリティを決める要素」について解説します。 

セクシュアリティを決める要素とは? 

セクシュアリティを決める要素は、大きくわけて4つあるといわれています。 

それが、「★身体的性 Sex★性自認 Gender Identity★性的指向 Sexual Orientation★性表現 Gender Expression」の4つです。 

それぞれについて解説していきたいと思います。 

身体的性 

身体的性とは、生まれた時に定められる性のことです。外陰や内陰、染色体、性腺など生物学的観点から定められます。 

性自認 

性自認とは、自らをどのような性と考えているか、という要素です。少しわかりにくいかもしれませんが、身体的性が男性の方が、自分のことを男性と自認している場合、性自認は“男性”です。 

つまり、身体的性が男性の方が自分のことを女性と自認している場合の性自認は、“女性”となります。 

性的指向 

性的指向とは、どのような性に恋愛感情や性的感情を抱くか、という要素です。例えば、男性に恋愛感情などが向く方は性的指向は男性となり、女性に恋愛感情などを抱く方は性的指向が女性と考えられます。要するに、好きになる相手の性は何か…という要素です。 

性表現 

性表現とは、自らがどのような性を表現したいか、という要素です。例えば、ほかの要素に関連せずに自らを女性として表現したいという方は、性表現が女性と考えることができます。女性らしい口調や言動、服装をしている方は性表現が女性となります。 

二択ではない 

セクシュアリティを決める要素を見てきました。 

例えば性自認というと、“男性と女性の二つ”と思い込んでしまっている方もいるかもしれません。しかし、身体的性が男性で性自認が女性という方もいますし、そもそも性別がないと思っている方もいます。 

両性という方もいるでしょう。人間として生まれてきた時点で、自分を男性と思う、女性と思う、ということは100%ではなく多様性があるということを知ることが第一歩なのです。 

さて、この要素から導きだせるのが、LGBTという言葉です。 

LGBTについて考える 

セクシュアリティを決める要素から定義づけられる一部のセクシュアリティで構成される言葉に、「LGBT」というものがあります。耳にしたこともあるかもしれません。ここからは、「LGBT」について考えていきましょう。 

「LGBT」の意味 

「LGBT」とは、レズビアン(Lesbianゲイ(Gayバイセクシュアル(Bisexualトランスジェンダー(Transgender)」の頭文字から構成されている言葉です。例えば、レズビアンは「性自認が女性で、性的指向が女性に向いているセクシュアリティ」となり、バイセクシュアルは、「性的指向が男性・女性(両性)に向いているセクシュアリティ」などになります。 

つまり、男性と女性という単純な性ではなく、そのあり方は多様であるということがわかるでしょう。 

すべてがセクシュアリティ 

「LGBT」は、セクシュアルマイノリティの総称としても使用されていますが、当然セクシュアリティは「LGBT」だけではなく数多く存在します。 

そのため、さらに幅広いセクシュアリティを包括する性的指向と性自認の略語であるSOGIという言葉も生まれているなど、性の多様性はどんどん進んでいる状況です。 

つまり、ストレートやヘテロセクシュアルは普通の人と思われがちですが、これもセクシュアリティのひとつということです。 

受け入れるということ 

性の多様性を理解する上で、基本的なことをお伝えしました。 

まず、知ることも大切ですが理解することが重要です。定義や要素、ジェンダーの問題。こういった部分を知ることで、性は多様であり、多様だからこそ素晴らしいという思いが出てくるはずです。 

まだまだ日本では理解されていない部分もありますが、一人一人が真剣にこの問題と対峙することから全てが始まるのではないでしょうか。 

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